新入社員で駆け出しの私に仕事への初心を与えてくれた零細企業の社長

誰にでも何かを始める際に出発点があるはずです。

私にも仕事に対して大事な心掛けをするための出発点がありました。

その最初の心掛けが私の人生に今も影響を与えています。

私は、学校に通っていたときにアルバイトをしていました。

アルバイトをしようと思った理由は、毎日の同じ生活にへきへきとしていて刺激が欲しかったからです。

私は喫茶店でアルバイトをしました。

学校とは違い、今まで感じることがなかった生きている実感みたいなものがそこにありました。

しかし今から思い返せば、喫茶店で正社員として働いている人とアルバイトの私の仕事に対する思いは、全然違っていたのだと感じさせられました。

社会とはどういう世界なのか、私の立ち位置から垣間見たものは、初めてサラリーマンになったときの私には全然想像だにしなかった世界でした。

サラリーマンになったとき、会社で働くということとは何かを深く考えさせられました。

私がアルバイトをしていた喫茶店という、ある意味小さな会社みたいな世界のなかで、まさかそのオーナーが必死になって店を運営していたという事実は、思いもよらないものでした。

私は学校生活をしていても学費やその他生活費はすべて親任せで、社会の厳しさなどというものとは無縁でした。

ですので、あるときバイト代を電車のなかに置き忘れてなくしてしまったときも、さほど気持ちのなかでは気にはしませんでした。

そんな甘い学校生活を満喫していたので、学校を卒業して社会という世界に飛び出したとき、今までの私の社会の概念というものが、あまりにも稚拙だったということを思いしらされました。

会社に入って給料をいただくということは、自分が仕事をして稼がなければ与えられないものということ。

決して会社は慈善事業をしているわけでもなく、もちろんどこからともなくお金がわいてくるものでもなく、会社に所属する誰かしらが汗水たらしながら、稼いでくることにほかならないという現実がそこにはありました。

私の職種は営業で、ストレートにユーザーと接し、商品を販売して売り上げをあげる稼ぎかしらとなりました。

ですから、私だけの給料分を稼ぐだけでなく、後方から支援してくれる人たちの分まで売り上げをとってくるのが当たり前の現実でした。

新入社員として会社に入り、サラリーマンとしてスタートしたときは、何がなんだかどう私が振舞えばよいのかわかりませんでした。

そういうときこそ、人それぞれがもっている信念とか座右の銘というものが必要であることを強く感じさせられました。

私の信念とはなにか。

社会にでると、直接厳しい風が私に襲いかかってきました。

そんなときに盾になるものが信念だということを知ったのです。

しかし、つい数か月前まで甘い考えで学校生活を満喫してきた人間にとって、厳しい社会の洗礼はあまりにも酷なものでした。

会社からは売り上げを要求され、なにかにすがりたい気持ちになりました。

今から思えば、学校生活をしているときに、つまり社会にでる準備をしているときに社会という風に吹き飛ばされないための盾を見つけておくべきでした。

有名人やスポーツ選手がテレビの向こうから、信念とか座右の銘というものを語っている姿はよく見かける光景です。

人間は生きている以上、自分の目標に向かって突き進まなければなりません。

そんなときに挫折というものがひとつやふたつ、どんな人にでもあります。

信念や座右の銘はただの思い付きやアクセサリー的な存在ではなく、厳しい現実を打破するために苦労の中から生み出すものだということを、今さらながら思いさせられました。

私の座右の銘は『初心忘るべからず』です。

誰もが知っているとてもチープにも聞こえるこの言葉は、私にはとても大事で大切なものです。

これを教えてくれたのが、新入社員として駆けだしたばかりの私に温かく接してくれたある零細企業の社長でした。

私はIT企業で東証一部上場の会社に入社していました。

そういった会社だったので、売り上げをあげる相手も、基本的にはそういう大手の会社がユーザーでした。

私は、IT関連の展示会でその社長と名刺交換をしていました。

名刺交換だけでしたので、その会社がどういうものかまったく知りませんでした。

一社でも多くのユーザーを獲得して、売り上げ目標を達成したいというのがそのときの私の本音でした。

もちろんどんな会社の営業を担当している人たちも同じはずです。

ですから、同じ業界でしかも大手のユーザーを獲得するということは、本当に苦労の連続です。

そんな中で出会った零細企業の社長は、私がひとりで初めてプレゼンをした人でした。

そのときは、藁をもすがる気持ちでユーザーを見つけることに必死になっていたので、大手企業でなくても誰でもいいので売り上げにつながる会社を探しました。

今を思えばその社長がユーザーには決してならないということも判断できていませんでした。

私の会社で販売している商品とは、少し違う業種だったからです。

結果的にはいくら熱く商品説明をしても売り上げにはつながるはずもなかったのです。

それは零細企業の社長も承知していて、大事な仕事の時間を割いて私の話を親身に聞いてくれました。

そして、そのとき社長が私にかけてくれた言葉は、私の会社のことを知ってか「私のような小さな会社でなくて、もっと大きな会社に営業できるようになるといいですね」というものでした。

その話のあとに缶コーヒーを一本私に渡してくれたとき、その社長から温かく見守られていることを知りました。

売り上げを上げることはもちろん営業をするものとして大事ですが、その前にひとりの人間としてどのような会社だとしても本気で接することが本当に大事であることを知りました。

社長からいただいた言葉は、私にとってとても刺激的なものであり今後の人生の糧となりました。

これが私にとっての初心だと実感しました。

どんな会社にでも熱意をもって接することで人間関係をつくりあげ、それがいずれはどこかで実を結ぶのだと思いました。

その会社とは直接的な縁は結べなかったわけでしたが、その社長と良い人間関係を結べたことが今後の私のサラリーマン人生の根幹となりました。

なにかあってへこたれそうになったときにあの社長の言葉を思いだしました。

温かく見守ってくれる人は必ずいるし、それにはこちらの熱意がひとつの鍵になると思いました。

私はその後、失敗を繰り返すなかで、たくさんの大手のユーザーを獲得することができるようになりました。

しかしいつも私の胸のなかにある座右の銘は仕事以外でもどんなことに対してでも『初心忘るべからず』です。

これが、私の人生の軸になっています。

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